コンクリートの水密性

コンクリートは水密性に富み水を通さない材料ですが、構造物を作るときにはいろいろな要因が絡み、ひび割れなど部分的に空隙が発生することにより水密性が低下し、漏水の原因となります。
ひび割れは目視で確認できる物だと思われがちですが、健全と思われるコンクリートにも目視では確認しにくい微細なひび割れや空隙が発生しています。
これらも水密性低下の原因です。


◆水密性が低下する要因

① コンクリートの材料による影響

コンクリートは単位水量が少なく水セメント比が小さいほど水密性が高くなりますが、構造物を作る場合には施工性が重要であり、構造物の水密性には材料のバランスが重要です。
最近では良質な骨材が不足し、水密性が低下する傾向にあります。


② 型枠に打ち込み固まるまでの施工による影響

豆板など施工上の欠陥部はもちろんですが、打継ぎ部、コールドジョイント、貫通部材(セパレーターを含む)はブリージングなどの影響を受け、適切な処理をしないと大幅に水密性が低下します。


③ 強度が発生するまでの水和熱と養生の影響

マスコンでは水和熱に伴う温度差によりひび割れが発生しやすく、マスコン以外でも水和熱の上昇は硬化後の収縮にともない貫通ひび割れの発生原因となります。
また、初期の養生不足による乾燥は表層の品質を大きく低下させ水密性が低下します。


④ 供用を開始した後の環境の影響

水密性は部材の厚さにも大きく影響を受け、特に供用開始後の乾湿や温度変化の繰り返しにより部材の薄い構造物は貫通ひび割れが入りやすく水密性が低下します。
自重によるたわみや荷重など、応力変化の繰り返しも貫通ひび割れになりやすく水密性が低下します。


◆コンクリートの水和反応と水密性

コンクリートに使用されているセメントには水和反応によりひび割れや空隙をふさぐ性能が有り、水養生を行えば水密性は高まります。
この性能により、コンクリートは養生を行えば永年にわたり緻密になり強度も増加すると言われています。
しかし、動かない水は養生水となりますが、移動する水はセメントの水和反応が進行中の成分を移動させてしまいます。
また、水和反応は緩やかな反応なので、湿潤状態を長期間維持することが難しく、構造物では水密性を高める性能が十分発揮していないのが実状です。


◆けい酸塩系防水材とコンクリートの水密性

けい酸塩系防水材は、コンクリートの水密性を高める躯体防水材です。
微細なひび割れや空隙内部に浸透し保水(養生)効果を維持すると共に、セメントの水和反応に必要なシリカ成分等を補充し反応速度を速めることにより、コンクリートの水密性を高める効果があります。
供用開始後も水分の供給により反応は継続し、新たに発生する空隙も健全な状態まで水密性を回復させる効果があります。