対象とする材料

ここで対象とする”けい酸塩系表面含浸材” “けい酸塩系防水材”は、けい酸塩を主成分とする無色透明な水溶液で、コンクリートに浸透させ、微細な空隙をCSH系の結晶で埋めて水密性を高める材料です。

その主成分であるけい酸塩は、水溶液状態ではSi(OH)nの連続する鎖状分子がアルカリ金属原子を取り囲む構造を持つポリシリケートとして存在しています。
ポリシリケートの径は 図1 に示すとおり、イオンより大きいがコロイドより小さく、けい酸塩系表面含浸材中の主成分の径も概ね同じ範囲です。

図1.コンクリートの空隙の大きさとけい酸塩系表面含浸材の粒径

粒径の大きさから微細な空隙を埋めることに適した材料で、適用範囲は 図2 に示すとおりで、充填材や注入材では対応の難しい微細なひび割れや漏水ひび割れに対して有効な材料です。

図2.コンクリート構造物に発生したひび割れの幅および、けい酸塩系表面含浸工法のひび割れ幅に対する適用範囲

土木学会のけい酸塩系表面含浸材では、材料そのものが乾燥して固まることにより空隙を埋める”固化型”とコンクリート中のカルシウムとの反応を繰り返すことにより継続的に空隙を埋める”反応型”に分類されていますが、ここではコンクリートの躯体防水として使用することが出来る”反応型”けい酸塩系表面含浸材を対象とし説明します(図3参照)。

図3.表面含浸材と躯体防水材

以後の説明では、材料については『けい酸塩系防水材』とし、躯体防水のためのコンクリートの性能については『水密性』として表現します。