当研究会の対象とするけい酸塩系防水材CS-21を適用した防水

躯体防水のため、適用できる構造やコンクリートの品質に制限があります。
各防水工法の仕様に合わせて計画することが重要です。
雨掛かり部や湛水部など、繰返しまたは常時水に触れる箇所への適用が基本となりますので、水分の供給が少ない箇所への適用は、定期的な散水などの追加対策が必要となります。
乾燥収縮や温度応力による微細ひび割れには対応できますが、構造ひび割れに対しては追加処理が必要となります。

◆駐車場防水の適用条件
CS-21による駐車場防水は、コンクリート躯体の水密性を高める躯体防水です。
保護層、防水層が必要ないため荷重軽減や工期が大幅に短縮でき、耐久性に優れ、構造的な欠陥も部分補修で対応できるなどメリットの多い工法です。
適用に当たっては、下記の 表1 を参考にして構造物の品質を確認することが必要です。
水密性の高いコンクリートを作るため、設計者、元請業者、躯体施工業者、防水施工業者の協力が不可欠な工法です。

表1.CS-21による駐車場防水(デッキ合成スラブ)の適用条件

区分 想定される問題 CS-21躯体防水の必要条件
材料
(生コン)
初期強度発生の遅延および乾燥収縮によるひび割れの発生 使用するコンクリートは普通ポルトランドセメントを使用し、面積が大きい(長編30m以上)場合、膨張材を使用することが望ましい。
ブリージングが多く、材料分離によるひび割れおよび鉄筋下面の空隙の発生 流動化剤を使用しない場合、スランプ15cm以下、単位水量175kg/m3以下とする。
構造 ひび割れの発生 スラブ構造体は積載荷重(動荷重を含む)に十分耐えるものとする。
ひび割れの進行および振動障害の発生 床版のたわみ抑制のため、小梁のたわみを有効支間長の1/400以下とする。(床版のたわみは1/300以下が望ましい)
拘束、たわみによるひび割れおよびコンクリートの強度不足、鉄筋の配筋誤差の発生 ひび割れ拡大防止筋は溶接金網Φ6-150×150 以上とし、大梁および柱周りにはD10 以上、ピッチ200 以下の補強筋を設置する。鉄筋比は0.4%以上が望ましい。
かぶり厚さはスラブ上面から30mm 以上とし、デッキプレート山上から鉄筋までの高さは25mm 以上とする。
配筋沈下防止のため、適切なスペーサー(CSスペーサー等)を3~4 個/㎡使用する。
コンクリートの断面不足によるひび割れの発生 コンクリートの厚さはデッキプレート山上から80mm(軽量コンクリートの場合は100mm)以上とする。
電気配管によるコンクリートの断面欠損 電気配線路の埋設は原則不可とし、他に配線の方法が採れぬ等、止むを得ない場合は、協議の上、部材の中央に単数で設置することとする。尚、「またぎ配線」は、最小限とする。この場合、梁から 1m以上離した箇所に設置する。
ブリージング水およびモルタル流出によるひび割れ、ポーラス部およびコンクリート強度不足の発生 デッキプレートのジョイント部の隙間は、強固なテープで目止めする。
施工
(打設)
後埋め材の品質不良に伴うひび割れおよび剥離の発生 排水ドレーンはコンクリートに直打込み型とし、ひび割れ補強筋を設置する。
排水不良による端部金物の錆びの発生 排水勾配を1/100以上設ける。床の端部のコンクリート仕上げ面は、15~20mm程度立ち上げる。
打継ぎ部のひび割れの助長および錆の発生 打継ぎ箇所は所定の形状と補強筋を確保し、コンクリート止めは櫛型枠またはエアーフェンス等を用いる。エキスパンドメタルは原則不可とする。
打継ぎ部のひび割れおよびコンクリート強度不足の発生 打継ぎ箇所は充分な清掃を行い、残コンは除去する。CS-21散布後にコンクリート打設を実施する。バイブレータによる締固めを十分に行う。
ひび割れおよびコンクリート表面強度不足の発生 コンクリート表面は金ゴテ仕上げ(同時期の刷毛引き可)とし、ひび割れ誘発目地は設けない。
勾配(スロープ)部の締固め不足によるひび割れの発生 勾配(スロープ)部のコンクリート打設については、下から上への打設を厳守する。またスロープ部は真空コンクリート工法とする。
施工
(養生)
異常凝結、収縮による亀甲状のひび割れの発生 コンクリート打設後3日間以上は表面を湿潤状態に保ち、急激な乾燥を防止する。(塗膜養生材は使用しない)
衝撃変位によるひび割れの発生 所定の強度が発性するまで荷重をかけない。
車止めはコンクリート製品を使用し、ケミカルアンカーとエポキシ樹脂での接着が望ましい。ケミカルアンカーの深さは有効スラブ厚の 1/3 以下とする。
防水効果遅延の発生 防水効果を早期に発揮する為散水など湿潤養生を実施する。

 

◆屋上防水の適用条件
CS-21による屋上防水は、コンクリート躯体の水密性を高める躯体防水です。
適用に当たっては、下記の 表2を参考にして構造物の品質を確認することが必要です。
水密性の高いコンクリートを作るため、設計者、元請業者、躯体施工業者、防水施工業者の協力が不可欠な工法です。

表2.CS-21による屋上防水の適用条件

区分 想定される問題 CS-21躯体防水の必要条件
材料
(生コン)
初期強度の不足および収縮によるひび割れの発生 使用するコンクリートは普通コンクリート(現場打ち)とする。
ブリージングが多く、材料分離によるひび割れおよび鉄筋下面の空隙の発生 流動化剤を使用しない場合、スランプ15cm以下、単位水量175kg/m3以下とする。
構造 構造ひび割れの発生 構造体はRC・SRC構造で十分な耐力のあるものとする。
拘束によるひび割れの発生 最小かぶり厚さはスラブ上面から30mmとする。(最大かぶり厚さは40mm程度が望ましい)
腐食電流による鉄筋の発錆および断面欠損によるひび割れの発生 電気配線は防護管養生し、複数の束ね配管は不可とし、位置はスラブ断面中央を原則とする。
施工
(打設)
後埋め材の品質不良に伴うひび割れおよび剥離の発生 排水ドレーンはコンクリートに直打込みとする。
排水不良による水溜りの発生 排水勾配を1/100以上設ける。
打継ぎ部のひび割れおよびコンクリート強度不足の発生 打継ぎ箇所は充分な清掃を行い、CS-21散布後にコンクリート打設を実施する。
ひび割れおよびコンクリート表面強度不足の発生 コンクリート表面は金ゴテ仕上げとし、ひび割れ誘発目地は設けない。
施工
(養生)
異常凝結、収縮による亀甲状のひび割れの発生 コンクリート打設後2日間は表面を湿潤状態に保ち、急激な乾燥を防止する。(塗膜養生材は使用しない)
防水効果遅延の発生 防水効果を早期に発揮するため散水等促進養生を実施する。

※CS-21を使用する屋上防水は住宅瑕疵担保責任保険に適合している工法です。
※打継ぎ、貫通部材の処理と全面塗布をあわせて躯体防水となります。

◆地下防水・水槽防水の適用条件
CS-21による地下・水槽防水は、コンクリート躯体の水密性を高める躯体防水です。
適用に当たっては、下記の 表3 を参考にして構造物の品質を確認することが必要です。
水密性の高いコンクリートを作るため、設計者、元請業者、躯体施工業者、防水施工業者の協力が不可欠な工法です。

表3.CS-21による地価・水槽防水の適用条件

区分 想定される問題 CS-21躯体防水の必要条件
材料
(生コン)
ブリージングが多く、材料分離によるひび割れおよび鉄筋下面の空隙の発生 流動化剤を使用しない場合、スランプ15cm以下、単位水量175kg/m3以下とする。
構造 構造ひび割れの発生 構造体はRC・SRC構造で十分な耐力のあるものとする。
施工
(打設)
打継ぎ部、貫通部のひび割れおよびコンクリート強度不足の発生 打継ぎ箇所、貫通部周りは充分な清掃を行い、CS-21散布後に打設する。
ラス型枠などは必ず撤去する。
セパレータ下面の空隙の発生 打ち重ねはセパの位置を避け十分締め固める。
脱型後、木コン部は充分な清掃を行い、CS-21散布後にモルタル等を充填する。
内防水の場合注入併用工法を推奨する。
施工
(養生)
異常凝結、収縮による亀甲状のひび割れの発生 コンクリート打設後2日間は表面を湿潤状態に保ち、急激な乾燥を防止する。(塗膜養生材は使用しない)
防水効果遅延の発生 防水効果を確実に発揮するため、養生期間が必要。地下外壁の場合埋戻しまで、水槽の場合貯水までの期間を2週間以上設ける。

※水道施設の技術的基準を定める厚生省令の評価基準に適合しています。
※打継ぎ、木コン、貫通部材の処理と全面塗布をあわせて躯体防水となります。
※地下の外防水の場合、養生の短縮と防水性能を高めたCS-21+フィラー工法を推奨します