構造物の要求性能とけい酸塩系防水材の適用範囲

防水とは水が染みる事を防ぐことですが、構造物の使用目的に応じた要求性能の違いとけい酸塩系防水材の適用範囲を示すと下記のようになります。

① 水路等少量の漏水は問題としない場合や、地下駐車場など2重壁や排水設備を設置する対策を実施し、にじみや微量の漏水は問題としない要求性能

【部分的に適用】
水密性の高いコンクリートを構築することにより要求性能が確保でき、けい酸塩系防水材を防水工として全面に使用する必要はありません。
けい酸塩系防水材は施工不良箇所の補修や欠陥部となりやすい打継ぎ箇所、木コン箇所、コールドジョイントを処理する事で水密性や耐久性を向上させることができます。
また、漏水箇所の止水材料として使用することにより水密性を確保する事もできますが、止水工事は人件費が多く必要となるため事前処理が経済的です。


② 水槽、屋上、地下の外壁を直接使用する場合など、漏水してはいけない要求性能

【適用範囲】
構造体が大きくなるとコンクリート単独では要求性能の確保が困難となり、性能の高いけい酸塩系防水材を使用することにより適用可能となります。
打継ぎ、木コン、貫通部材の処理を含めて、躯体防水として成立します。
施工不良箇所や構造ひび割れは部分補修を行うことにより、要求性能を確保することができます。


③ 精密機器などを保管し、漏水はもちろん湿気も防がなければいけない要求性能

【適用範囲外】
透水性・透気性の低い樹脂や金属で水と接する部位を覆う必要があり、けい酸塩系防水材の適用範囲外です。